プレコンセプションケアとは
プレコンセプションケアとは、
若い男女が将来のライフプランを考えて、自分たちの生活や健康に向き合うことです。
プレは前、コンセプションは妊娠・受胎という意味です。
プレコンセプションケアは、妊娠を計画している女性だけではなく、
パートナーである男性や、
すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアです。
では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。
「自分の体のこと」「今からできること」を一つずつ見ていきましょう。
01
自分の体のことを知ろう
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運動
日頃から健康的な運動はできていますか?プレコンセプションケアでは、一週間に150分程度の運動を目安として推奨しています。
健康的に適正体重を維持するため、テレビ体操や早歩き、ヨガや筋トレなど、運動習慣をつけましょう。 -
ストレス
現代社会ではストレスを抱えやすく、心の不調を抱えることもあるでしょう。
日ごろから自分なりのストレス解消法を見つけましょう。食欲がなくなる | 寝つきが悪くなった | 動悸がする、血圧が上がる | やる気が出ない
憂うつ感、不安感、無力感がある | 周囲との交流を避けるようになる | 飲酒、喫煙量が増える
身だしなみがだらしなくなる | 落ち着きがなくなるこれらの症状に困ったら、専門の相談窓口などに相談しましょう。
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適正体重
BMIを参考に、バランスの良い食事と運動を心がけ、適正体重を目指しましょう。
- BMIの計算と判定
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BMI =
体重kg
身長m
×身長m
- BMI
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25以上 太っている 18.5~24.9(理想値は22) 標準の範囲 18.5未満 やせている
BMI(ボディ・マス・インデックス)は国際的に使われている肥満度を表す指標です。
※身長体重を入力するとBMIの計算ができます。女性の「やせ」や「肥満」は排卵障害のリスクを高めます。やせは貧血や骨量減少、切迫早産、早産、低出生体重児リスク、肥満は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開、巨大児リスクが高まります。
また、男性の肥満は、精液所見不良や勃起障害の頻度が多くなり、男性不妊の一因となります。
02
今からできることは?
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タバコ・お酒について
喫煙はあらゆる病気の原因となると同時に、男女ともに不妊症のリスクを高めます。
女性にとって、妊娠中の喫煙・受動喫煙は、流産、早産、周産期死亡、低体重など胎児にとって極めて重篤な症状を引き起こす可能性があります。男性の喫煙も男性不妊のリスクを高め、周囲の妊娠中、妊娠可能性のある女性に受動喫煙を強いることになります。自分と周囲の大切な方の健康を守るために、男女ともに禁煙しましょう。
また飲酒は、胎児性アルコール症候群の原因となり、赤ちゃんの目鼻の奇形、発育不全、中枢神経障害などにつながります。 -
性感染症
性的接触により誰もが感染しうる性感染症は、無症状・無自覚であることが多く、知らない間に感染もしくはうつしてしまっている場合もあります。
また、性感染症の中には、不妊の原因になったり、妊娠中にかかると赤ちゃんの健康に影響を与えるものがあります。
性感染症は自然に完治するものではありません。思い当たることがあれば、婦人科・泌尿器科へ相談し、パートナーと一緒にしっかりと検査・治療をしましょう。 -
ワクチン(風疹・麻疹・水痘・おたふくかぜ)
風疹・麻疹・水痘・おたふくかぜは妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響を与える恐れがありますが、妊娠中にワクチンの接種はできません。あらかじめワクチン接種歴を確認しておきましょう。
また、風疹は本人が感染の自覚がないこともあります。パートナーや同居する家族もワクチン接種をし、妊婦さんに感染させないように対策をしましょう。
栄養管理
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栄養管理
栄養不足による若い女性のやせは、貧血・肌荒れ・骨密度や筋力の低下などを引き起こします。また、月経不順や不妊、低出生体重児(生まれたときの体重が2,500g未満)の原因になるなど、将来の妊娠・出産にも影響を与えます。
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葉酸
妊娠の一か月以上前から妊娠初期にかけて、葉酸というビタミンをしっかり摂る(1日400μgの摂取が望ましい)ことで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防ができます。神経管閉鎖障害とは、胎児の神経管ができるときに起こる先天異常です。妊娠が判明するのは神経管ができる時期よりも遅いため、妊娠を希望する女性は緑黄色野菜を積極的に摂取し、サプリメントも上手に活用しながらしっかり葉酸を摂取しましょう。
※国立成育医療研究センタープレコンセプションケアセンター ホームページ
(https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/preconnote/)より引用
03
かかりつけ医に相談しよう
定期健診
かかりつけ医がいると、日ごろから自分の体の健康状態や変化に気づきやすくなります。
毎年の健康診断や定期的に子宮頸がん検診を受診することで、妊娠前のリスクに対処することができます。
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生活習慣病
妊娠前から生活習慣病(動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症など)を抱えていると、胎児に悪影響を与える場合があります。例えば、妊娠前に高血糖の場合は赤ちゃんの先天異常のリスクが、高血圧の場合は妊娠合併症のリスクが高まります。
毎年健康診断を受けるとともに、肥満や家族に糖尿病や高血圧の人がいる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。 -
子宮頸がん、乳がん検診
女性は20代から子宮頸がんが増え、30代から乳がんが急増します。2年に1度の子宮頸がん検診と、月に1回の乳房のセルフチェックを行いましょう。また、40歳からは乳がん検診も忘れずに受診し、何か異変を感じたらかかりつけ医に相談しましょう。
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乳房のセルフチェック
- お風呂やシャワーのとき、石けんがついた手で触れると乳房の凹凸がよく分かります。
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4本の指を揃えて、指の腹と肋骨で乳房をはさむように触れ「の」の字を書くように指を動かします。
しこりや硬いこぶがないか、乳房の一部が硬くないか、脇の下から乳首までチェックします。 - 2
乳房や乳首をしぼるようにして、乳首から分泌物がでないかを調べます。
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腕を高く上げて、ひきつれ、くぼみ、乳輪の変化、乳首のへこみ、湿疹がないかを確認します。 また、腕を腰に当ててしこりやくぼみがないかも観察します。
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仰向けに寝て、背中の下に低めの枕などを入れます。乳房にしこりがないかを触って調べます。
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月経について
月経が正常に来ていることは健康の証です。月経について、以下の項目をチェックしてみましょう。
・薬が効かないほどの痛み
・月経の間隔が24日以下、38日以上
・月経の持続日数が2日以内、 8日以上
・ナプキンを1~2時間で交換する
・月経期間中に感情のコントロールができない
・月経時以外でも、出血、腹痛、貧血がある上記の症状に一つでも当てはまれば、かかりつけ医に相談しましょう。
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歯科
妊娠中は、つわりで歯磨きができず、虫歯や歯周病が悪化することがあります。
妊娠中のお口のトラブルは早産や赤ちゃんの低体重との関連が指摘されているため、
普段から定期的に歯科受診しましょう。