出産を知る

出産までの過ごし方

妊娠すると、胎児の成長や出産に向けて、
女性のからだには様々な変化があります。
すこやかな妊娠・出産のため、どのようなサービスを受けることができ、
どのように過ごしていくと良いかを確認していきましょう。

01

妊娠が分かったら

  • 妊娠の届け出

    お住まいの市町村に妊娠届出書を提出することで母子健康手帳の交付や、様々なサービスを受けることができます。定期的な妊婦健康診査や自治体からの支援などを受けながら、出産に向けた準備をしていきましょう。

    届け出時に受けられるもの
    • ・母子健康手帳の交付
    • ・妊婦健康診査を公費補助で受けられる受診券
    • ・保健師等による相談
    • ・母親学級、両親学級の紹介
    • ・各種情報提供
    • など

里帰り出産で帰省するなど、住所地以外で過ごす場合は、住所地及び帰省地の市町村の母子保健担当に電話などで伝え、受けられる母子保健サービスを確認しましょう。

妊婦健康診査

医療機関などで定期的に妊婦健康診査を受診し、ご自身や赤ちゃんの健康状態を確認しましょう。
また、医師や助産師等からのアドバイスや相談ができるため、安心して妊娠期を過ごすことができます。

  • 受診する回数・タイミング

    標準的には14回程で、妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産までは週1回の受診が推奨されています。

  • 受診内容

    診察、身体測定、血圧測定、尿検査、血液検査、超音波検査などを行い、妊婦の健康状態と赤ちゃんの成長を確認します。妊娠前は健康であっても、妊娠中に病気になることがあるので、安全な出産のために早期発見・早期治療を心がけましょう。

  • 標準的な‟妊婦健診”の例

    厚生労働省では、14回分の妊婦健康診査として、次のようなスケジュールと内容を例示しています。
    あくまでも標準的なものですので、特に「必要に応じて行う医学的検査」の内容は、医療機関等の方針、妊婦さんと赤ちゃんの健康状態に基づく主治医の判断などによって、実際にはさまざまです。より主体的に受診していただくために、標準的な妊婦健康診査の例をご紹介します。

    妊婦健診を受けられる主な場所は、病院・診療所・助産所です。

    (助産所で出産する予定の方は、助産師と相談の上、病院または診療所でも妊娠健診を受けておきましょう。)

    ※妊娠中の検査に関する情報サイト「妊婦健診の検査」(こども家庭庁 出生前検査認証制度等啓発事業)
    https://prenatal.cfa.go.jp/pregnancy-and-childbirth/medical-checkup.html)の内容を引用して作成

02

食生活について

妊娠中と授乳中は、妊婦の健康や赤ちゃんの成長のため、妊娠前よりも多くの栄養素の摂取が必要となります。
必要な栄養を意識し、バランスの良い食事を心がけていきましょう。

  • バランスの良い食事

    主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が、バランスのよい食事の目安です。1日2回以上、この3つを揃えられるよう意識しましょう。また、妊娠中の適切な体重増加は、健康な赤ちゃんの出産のために必要です。
    つわりがある時は体調に合わせて食べられるものを摂取し、落ち着いてきたら食事の内容を見直しましょう。

  • 適切な体重増加

    適切な体重増加量は、妊娠前の体格(BMI)により異なりますが、赤ちゃんに必要なエネルギーや栄養素は、全て胎盤を通して与えられるため、適切な体重増加が必要です。医師や助産師、栄養士などのアドバイスを受け、母子健康手帳に記録しながら適切な体重増加を目指しましょう。

食事バランスガイドの活用

食事バランスガイドでは、何をどれだけ食べると良いか、1日の食事量の目安が示されています。
妊娠中と授乳中は、食事バランスガイドの目安量と時期に応じた付加量を参考に、無理なく続けていきましょう。

※国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ホームページ(https://www.nibiohn.go.jp/eiken/ninsanpu/balanceguide.html)より引用

「妊産婦のための
食事バランスガイド」はこちら

その他、気をつけること

早産や赤ちゃんの発育不全などを引き起こさないよう、妊娠中は禁酒・禁煙、カフェインの摂り過ぎに注意し、周りの方にも協力を求めましょう。
また、食中毒の防止のため、生野菜をよく洗う、生ものを控える、肉や魚は十分に加熱するなど、気を付ていきましょう。

必要な栄養素

  • 葉酸

    葉酸には細胞や血液を作る働きがあり、赤ちゃんの神経管障害の発症リスクを下げることができます。妊娠初期は1日400μgの摂取が望ましいため、葉酸を多く含む食品を積極的に摂り、サプリメントも上手く活用していきましょう。ただし、過剰摂取には注意が必要なため、栄養士などのアドバイスを受けながら、適切に摂取していきましょう。

  • 妊娠中は赤ちゃんの成長、胎盤内の鉄貯蔵、循環血液量が増加し、鉄の必要量が増します。鉄が不足すると貧血になりやすく、動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、頭痛や倦怠感の原因になります。妊婦健康診査時に妊娠初期、中期、後期に血液検査で貧血が確認できます。

03

日常の過ごし方

赤ちゃんの成長に伴い、妊婦のからだには妊娠前と比べ様々な変化が起きます。
日常の生活の中でからだのケアを行い、気になる症状があれば妊婦健康診査などの際に相談しながら過ごしていきましょう。

  • 運動について

    つわりが落ち着いた時期から、ご自身の体調や生活環境に応じて、ゆったりとしたウォーキングやヨガなど、体調の良い時に30分~1時間程度の無理のない範囲で行いましょう。
    ただし、腹筋を使う動作や激しい運動は避け、おなかが張りやすい方や、多胎、合併症などがある場合は、かかりつけ医に相談のうえ行いましょう。

  • 禁煙

    妊婦本人は必ず禁煙し、周りの方も妊婦の周りでは必ず禁煙しましょう。
    出産後に喫煙を再開する方がいますが、出産後にもたばこの煙は母乳の分泌や赤ちゃんの呼吸器に影響を及ぼし、乳幼児突然死症候群の危険も高まるため、お母さんや赤ちゃんの周りは禁煙です。

  • 便秘・痔

    妊娠中はホルモンの影響で腸の働きが抑えられ、便秘になりやすくなるため、水分や食物繊維を多く含んだ食品やヨーグルトを積極的に摂り、適度な運動を心がけましょう。また、便秘で便が硬くなると排便時に肛門周囲の血管がうっ血し、痔になることがあるため、まずは便秘にならないよう規則正しい生活や食事を心がけましょう。
    もし症状が気になる場合は、妊婦健康診査などで相談しましょう。

  • 頻尿・尿漏れ

    妊娠中は、大きくなった子宮による膀胱の圧迫や、循環血液量の増加による尿量の増加から、頻尿や尿もれになることがあります。夜間にトイレで目が覚めやすくなりますが、出産後は改善されます。また、妊娠中の尿もれは珍しくないため治療することは殆どありませんが、破水と区別がつきにくいため、流れている感じが続くなど、気になる場合はかかりつけ医に相談しましょう。

  • 歯科健診と口腔ケア

    つわりで歯磨きが十分にできないことや、妊娠で唾液の分泌量や性状が変わり、口内環境が悪くなることがあります。口腔ケアは、歯磨きなどのセルフケアと、歯科での専門ケアがありますが、妊娠を理由に歯科の受診や治療を控える必要はありません。ただし、レントゲンや麻酔、内服薬が必要になる場合があるため、必ず歯科で妊娠していることを伝えましょう。

おっぱいのケア

  • 乳頭ケア

    乳頭が柔らかいと赤ちゃんが母乳を飲みやすいため、出産前から乳頭や乳輪をほぐしておきましょう。乳頭が陥没している場合には、乳頭を突出させるマッサージ方法もあります。ただし、乳頭への刺激はおなかの張りを引き起こすことがあるため、自身に合った時期や方法をかかりつけ医に相談しながら行いましょう。

  • 乳頭のお手入れ

    乳頭に垢がたまることがありますが、指の爪などでかき出すなどの強い刺激は避け、気になる場合は、入浴前にオリーブオイルやベビーオイルをつけたコットンを乳頭に置きラップをして、入浴中に5分程度温めてから外すと、汚れが取れやすくなります。

  • 下着の工夫

    個人差はありますが、乳腺の発達により妊娠前よりも乳房が大きくなるため、からだの変化に合わせて締め付け過ぎない下着を着用しましょう。

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